うた子さんうたこ prénom fémininは友達ともだち amiに教わって教わる おそわる: apprendre、水仙すいせん: narcisseの根ね racineを切り割って切り割る きりわる: couper en deux, séparer、赤いあかい rouge絵の具えのぐ couleurs, peintureと青いあおい bleu (vert)絵の具えのぐ couleurs, peintureを入れていれる mettre、お庭にわ jardinの隅すみ coinに埋めて埋める うめる: enterrer, enfouirおきました。早くはやく tôt, vite, rapidement芽め bouton, bourgeonが出てでる apparaître, sortir、赤と青の水仙の花はな fleurが咲けばさく fleurir, s'épanouirいいと、毎日まいにち quotidiennement, tous les jours水をやって水をやる みずをやる arroserおりましたが、いつまでもtoujours; ici: jamais芽が出ません。
ある日あるひ un jour、学校がっこう écoleから帰ってかえる revenir, rentrerすぐにすぐに immédiatement, aussitôtお庭に来てみるきてみる ici: entrer pour voirと、大変たいへん terrible, affreuxです。お父様おとうさま (son) pèreがお庭中をすっかりcomplètement掘り返してほりかえす retourner, labourer, bêcher、畠はたけ potagerにしておいでになります。そうしてうた子さんを見ると、
「やあ、うた子か。お父さんおとうさん papaはうっかりpar mégardeして悪い事をしたわるいことをする faire du mal, faire qc de mal。お前おまえ toiの大切なたいせつ cher, précieux水仙を二つとも鍬くわ houeで半分はんぶん (en deux) moitiéに切ってしまったきる+しまう couperから、裏うら derrièreの草原くさはら prairieへ棄すてる jeter, abandonnerててしまった。勘弁かんべんする pardonnerしてくれ。その代りそのかわり à la place、今度水仙の花が咲く頃ころ époque, périodeになったら、大きなおおきな grand支那水仙しなすいせん jonquille de Chineを買ってやるから」
とおあやまりexcuseになりました。
うた子さんは泣きたいなく pleurerのをやっとdifficilement我慢してがまんする se dominer, se retenir、裏の草原を探しましたさがす chercher, fouillerが、もう見つかりませんでしたみつかる être trouvé。そうしてその晩ばん soir蒲団ふとん futonの中で、
「支那水仙はいる avoir besoin de。あの水仙が可愛いかわいい mignon, charmantそうだ。もう水をやる事が出来ないのか」
といろいろ考えかんがえる réfléchir, penser;ながら泣いて寝ましたねる se coucher, dormir。
あくる日あくるひ jour suivant、学校がっこう écoleから帰るかえる revenir, rentrer時とき moment, quandにうた子さんは、「もううちchez soi, à la maisonへ帰っても、水仙に水をやる事が出来ないからつまらないennuyeuxなあ」とシクシク泣きながらしくしくなく sangloter帰って来ますと、途中でとちゅう en route, en chemin二人ふたり deux (personnes)の綺麗なきれいな belles, joliesお嬢さんおじょうさん jeune filleが出て来て、なれなれしくfamilièrementそばà côté de, près deへ寄ってよる s'approcher、
「あなた、なぜ泣いていらっしゃるの」
とたずねましたたずねる demander。うた子さんがわけpourquoi, raisonを話すと、それでは私たちと遊んで下さいましなと親切にしんせつに gentiment云いいう ; ゆう direながら、連れ立ってつれたって ; つれだって en compagnie de, ensembleおうちへ帰りました。
二人はほんとに静かな音なしい(大人しい)おとなしい doux, sage児こ enfantでした。顔色かおいろ teintは二人共ふたりとも les deux雪のように白くゆきのようにしろく blanc comme neige、おさげnattesに黄金おうごん orの稲いね riz飾りかざり parement, ornementを付けて、一人は赤の、一人は青のリボンを結んでおりました。うた子さんはすこし不思議に思って尋ねました。
「あなたたちはそんな薄い緑色の着物を着て、寒くはありませんか」
「いいえ、ちっとも」
「お名前は何とおっしゃるの」
「花子、玉子と申します」
「どこにいらっしゃるのですか」
二人は顔を見合わせてにっこり笑いました。
「この頃御近所に来たのです。どうぞ遊んで下さいましね」
うた子さんはそれから毎日、三人で温順(おとな)しく遊びました。本を見たり、絵や字をかいたり、お手玉をしたりして日が暮れると、二人は揃って、
「さようなら」
と帰って行きました。お母さんは、
「ほんとに温順(おとな)しい、品のいいお嬢さんですこと。うた子と遊んでいると、うちにいるかいないかわからない位ですわね」
とお父さんと話し合って喜んでおいでになりました。
そのうちにお正月になりました。
うた子さんは初夢を見ようと思って寝ますと、いつも来るお嬢さんが二人揃って枕元に来て、さもうれしそうに、
「今日はおわかれに来ました」
と云いました。
うた子さんはびっくりしましたが、これはきっと夢だと思いましたから安心して、
「まあ、どこへいらっしゃるの」
と尋ねました。二人は極(きま)りわるそうに、
「今から裏の草原(くさはら)に行かねばなりません。どうぞ遊びに入らっして下さいね」
と云ううちに、二人の姿は消えてしまいました。うた子さんはハッと眼をさましましたが、この時やっと気がつきまして、
「それじゃ、水仙の精が遊びに来てくれたのか」
と、夜の明けるのを待ちかねて草原(くさはら)へ行ってみました。
草原(くさはら)は黄色く枯れてしまっている中に、水仙が一本青々と延びていて、青と赤と二いろの花が美しく咲き並んでおりました。